ランニングと舗装工学
3ヶ月ぐらい前なんですけ会社で回覧されて来る土木学会誌に興味深い記事が載っていたので抜粋してみました。
「スポーツ環境の創造に向けた土木の役割」-ランナーへの理解を-
スポーツ・レクリエーション活動のニーズに即したインフラ整備に向けランニングの身体活動特性の視点からランナーや歩行者に望まれる舗装や景観を考察する
大正6年に京都から始まった「東海道駅伝徒競走」から始まって東京マラソンの実施まで長距離走が市民の間に広まった経過を要約
全国で200万人以上のランナー人口となり2008年のランニングシューズ国内出荷量は1673万足。
東京マラソンについては30万以上の応募から3万人の参加者、1万人を超えるボランティア、5千人の警備体制
2009年に生涯スポーツ推進にかかわる人材育成とインフラ整備を柱にした「スポーツ基本法」改正に含みを持たせオリンピックから市民マラソン、ウォーキング、パラリンピック競技関係者に対する環境整備の機運が高まってきた
月刊誌「臨床スポーツ医学」2009年3月号で市民ランナーの安全管理が特集された
安全管理の点で走路は非常に重要
ランニングを飽きさせないことは注意力を維持する上で大切
その工夫としてカラー舗装、騒音低減とヒートアイランド抑制効果がある透水性舗装、足腰への負担を和らげるゴム入りアスファルト舗装
街路樹の整備
ランドマークになる遠方のビル群などとの対比による借景
ランニングの場合、河畔林や裸地、何かのランドマークがあると距離感が掴めペース配分の参考になる。
走路も舗装や砂利、草地など路面状態が多様だったり起伏に富んでいると目的に応じた様々なトレーニングが可能となり、安全性と快適さの面から造園を含む土木に対する期待感が高まる。
2009年に土木学会全国大会で「ランナーのための道路舗装」という研究討論会が開かれ約1200人が参加
発表タイトル
東京都におけるランナーのための道路舗装の試み
陸上競技場における全天候型舗装の現状と傾向
ランナーのための道路舗装-各試験-
ランナーのための道路舗装-車椅子の走行性への影響
マラソンコースと舗装
バイオメカニクスから見た舗装とランナーの関係
ランニングシューズの選び方
パネラーを務めた競技マラソン選手経験者のコーチ(元ヱスビー食品の平塚氏)、路面の硬さに敏感な選手達にとって理想的な走路はゴム入りアスファルト舗装と透水性舗装
討論会で関心を集めたのが透水性舗装の実験による路面温度と外気温低下の成果。夏場の照り返しでランナーの体温は41℃前後に上昇するといわれている
こういった研究をしている人はきっとランナーなんでしょうね。
道路の舗装だけでなく景観まで考えられているとはさすが研究者です。確かに単調な道だと長く感じて集中力も低下するかもしれない。
公共事業の予算削減でこんなことにお金かけられないとなるのか、医療費削減のため、国民が積極的に身体を動かす為にとなるのか?
研究成果が反映されて走ったり歩いたりしやすい道が増えると嬉しいな。