炭鉄港カード(芦別、赤平)4
最後は炭鉱遺産ガイド付き見学会です。8月にたまたまガイダンス施設に来た時に見学会が始まるところで興味はあったけど時間が無くて参加出来なかったんですが、ぜひ参加してみたいと思って日を改めて来ました。
内容は旧住友赤平炭鉱の立坑櫓と自走枠整備工場を元炭鉱マンのガイド付きで見学するというものです。
早速、立坑櫓の建物内へ。
深さ約650mあるという立坑。
立坑へ坑夫達が下りるのに左画像、上の4段になったケージに、下に一部見えてる人が乗る坑車が4両入って右画像のように立坑を下りていくそうです。この車両の座席1列に対し重装備の男達が3人乗り込み非常に窮屈だったとか。右画像でどういう仕組みかわかりますか?つるべ落としみたいな感じです。スピード、輸送力とも当時東洋一と言われていたそうです。
掘り出した石炭もこの坑車で同じ要領で運び出されていたそうです。
ケージから出て来た坑車が奥と手前と反動で往来していたそうで、相当な騒音だったのではないかと思います。
次に2階へ。巻上機の大きなモーター。三菱電機広島製作所で作られた物です。
ここが巻上機の操作室。
閉山時の1994年のカレンダーがそのままありました。
整備用の大きなスパナ。重い物では40kgあるそうです。
次に自走枠整備工場へ。立坑櫓から少し離れているので車で移動しました。
建物に入っていきなり目を引くのがこのロードヘッダー。三井三池製作所製。一般人はあまり見ることのない掘削機ですが、現在も同様の機械がトンネル工事で使われています。
これはロードヘッダーを追従し、掘削した石炭を運搬する機械。アメリカのJOYというメーカー製。
坑内の様子。こんなに狭いとは思わなかった。
メタンガスと静電気が爆発事故の原因になるので、それについて細心の注意を払っていたとか。住友赤平は鉱山保安について非常に厳しく、そのおかげで閉山まで大きな事故を起こしたことは無かったそうです。
火薬専用車とバッテリーロコ
これが自走枠。掘削しながら上部の枠が崩落を支える構造となっています。
実際の稼働はこんな感じ。(九州大学地球資源システム工学部門のHPより)
これで見学は終わり。
炭鉱はトンネル工事より何十倍も危険だと思われ、炭鉱で培った技術が今はトンネル工事で活かされてことも多いのではないかと感じました。(実際トンネル工事の坑夫も元炭鉱マンの人が多かったと聞きます)
私の父も元炭鉱マンであり、トンネル工事に従事していたこともあり、トンネル工事では発破の仕事をしていました。こんな大変な所で仕事をしていたのに、走ってもいたし、全く過酷な環境で仕事をしていたようには見えず、昔の人は強かったなぁと思いました。坑内の写真でも写っている人の表情が何だか生き生きしているように見えました。
このガイド付き見学、思っていたより人気があるみたいで、何で興味あるのか不思議に思うけど若い人も何人かいましたね。
ガイドの方は70歳で、この方以外にもう1人ガイドを引き受けている方がいるそうなんですが、79歳と高齢のため、殆ど1人でやっているそうです。元炭鉱マンにガイドをしてもらえるのもあと何年か…ということになるので、興味のある方は早めに行ってみると良いでしょう。
おわり