剱岳 

全国ロードショーが開始されてから約2ヶ月が経過して最後にやっと観ることができました。

日露戦争に勝利し軍の士気が高揚していた明治40年頃、立山連峰の剱岳にはまだ三角点が無く三角点設営の命を受けた測量官柴崎芳太郎は退官した先輩の助言などを参考に大山村出身の宇治長次郎を山案内人に決め準備を進める。
ちょうど時期を同じくして欧州の登山技術を取り入れた草創期の日本山岳会も剱岳初登頂を目指していた。
正確な地図作成に必要な三角点設営の為に不可欠な登頂の陸地測量部と登頂そのものが目的の日本山岳会がいつしか前人未到の剱岳初登頂の競い合いをしていると周りからも注目されてくる。

日本の登山界をリードしてきた陸地測量部が負けてはならぬと陸軍上層部も威信にかけて初登頂せよと圧力をかける。
ついに幾多の困難を乗り越え誰もが前人未踏の剱岳初登頂を成し遂げた時、感激に浸る間もなく頂上には既に山岳行者の残したと思われる錫杖を見つけ愕然とす る。報告を受けた陸軍上層部は初登頂では意味が無いと態度を変え本来の命令から逸脱し初登頂が目的だったかのように登頂記録も残すななどと勝手なことを言 い出す始末。

主人公の物静かで優しそうで、それでいて筋の通った測量官柴崎芳太郎と大山村で生まれ立山を知り尽くし、その勘の良さを誰もが認める山案内人の宇治長次郎 とは互いに尊重しあう固い絆を持った関係に好感を持ちました。長次郎役の香川照之さんの演技がなかなか良かったです。普段から鍛えているんでしょう、小さ な身体で大きな荷物を担ぎ実際に剱岳に登っている映像は山の深さ、辛さ、怖さをも同時に教えてくれている気がしました。
息子からの手紙を読むシーンは父に対する励ましに感動しました。

映画のクライマックスともいえる前人未踏、弘法大師も登れなかったという剱岳最後の登頂シーンは割りとあっけなく達成された感じでした。山行を重ねるうち敵対視していた日本山岳会とも互いに敬服し合える仲間となる。
自然の美しさ、厳しい環境の険しい山の中にいて何かを目指し成し遂げると素直な気持ちになって心が寛容になっていくのでしょうか。
剱岳の畏れを感じさせる山容、雲海の先に見える太陽、日本海側から富士山を眺望する映像なども印象に残る映画でした。

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