風が吹くとき

 

スノーマンで有名な作家、レイモンド・ブリッグスによる核戦争の恐怖を描いたアニメです。

映画オッペンハイマーの監督も子供時代にこの映画を見たそうです。

私も37年前に今は無きスガイで見ました。この頃はまだ米ソ冷戦時代でした。今、再び核戦争の危機が高まっているというタイミングでデジタルリマスター版が劇場再公開されました。


イギリスの田舎に住んでいる仲睦まじい老夫婦ジムとヒルダの物語です。

夫ジムは、やがて来る核戦争のために政府の作ったマニュアルを読み自宅内に核シェルターを作る。

妻ヒルダは戦争が起きることをあまり身近に感じていない様子で二人の会話は噛み合わないことも多い。

しかし本当にラジオから警報放送が流れ核爆弾が落ち自宅は原型を留めたものの瓦礫の山に。

二人は自作の核シェルターに入り生き残ったが被爆の影響で徐々に弱っていく有様を描いています。

ライフラインも全て遮断されラジオやテレビなどからの情報も無く、やがて降って来た雨水(黒い雨のようなもの?)を飲んで喉の渇きをいやしていました。

体調不良、頭痛、吐き気、下痢、手足の内出血、被爆による症状がだんだん進行していきます。

最後は二人ともシェルターで横たわって…

ジムは最後まで政府が助けに来てくれることを信じながら亡くなっていったのでしょう。

チラシや予告編ではほのぼのとした印象ですが、被爆した2人が弱っていく有様はアニメからでも、その残酷さが見る人に十分伝わりすごく重いものでした。


37年前に見た時、この映画のサウンドトラックがすごく気に入った記憶があります。

タイトル曲の風が吹く時(When the Wind blows) デビッドボウイの曲で当時ヒット曲になりました。

サウンドトラックのプロデューサーは元ピンクフロイドのロジャー・ウォーターズ他ジェネシスの曲が使用されています。

監督のジミー・T・ムラカミは親戚を長崎の原爆で亡くした日系アメリカ人。

日本語吹き替え版の監督が大島渚、ジムの役を森繁久彌、ヒルダを加藤治子が演じています。ここからも歳月の流れを感じますね。

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